<講演原稿の例>
こんな感じでよかったら、講演いたします。また、農楽舎へ参加したい方も募集しています
 連絡は下記へ。なるべくメールやFAXでお願いいたします。
   〒019−1933 秋田県大仙市南外字滝ノ沢49 農楽舎 主宰 根田 昌治
   ◇電話・FAX/0187−74−2200◇メール/sk-nhogakusha@nifty.com
(1)田舎暮らし,或いは農楽舎への誘い

(1)田舎暮らし,或いは農楽舎への誘い
(2004年11月10日秋雪会講演の要旨)
 こんにちは。紹介いだいた根田と申します。お手元に幹事さんが書いた経歴にある通り今年7月に勤めていた秋田テレビを定年退職しました。会社時代は主にニュースやドキュメンタリーなどを作っておりました。
 今は亡くなった父親から引き継いだ南外村にある田畑、山林を活用して田舎暮らしで農業の真似事をしようと準備中です。田舎暮らしをしようと思ったのは、東京支社で編成の仕事をしていたときに、都会は人間の住むところではない、遊ぶところだと思ったことと、友人に誘われて山登りをするたびに自然に触れてその素晴らしさを感じたからです。でも直接的なきっかけは15年前に父親が亡くなり、南外村にある田畑、山林さらには茅葺屋根の農家を相続しなければならなくなったからです。
 南外村は人口が5000人を切る山村ですが、親父の残したところは住宅が家を含めて3軒しかない集落で、過疎中の過疎の場所です。私が小学生高学年のころ、親父が自分の山の木を電柱として電力会社に提供して、やっと電気がひかれました。それまではランプで、私が訪問したころはよくランプ磨きをした記憶があります。
 また火力はすべて土間の囲炉裏の薪で料理を作り、風呂も薪をたいて入っていました。水は近くの山からの沢水をビニールパイプで引いて使っておりました。つまり電気代以外はただなんですね。そんな環境をそのまま引き継いだわけですが、たまに秋田から行くとそれなり気にいった生活になるのではと感じていました。しかし、茅葺屋根の家は傷みがひどく、長期間無人状態ですから屋根の上には草が生え、その内腐って穴が開き、下から見ると青空が見えるくらい荒廃が進みました。

 定年が迫る5年位前から、茅葺屋根の家は萱職人がいないことなどから補修には莫大な費用がかかるので、多分家1軒新たに建てるくらいかかります。小さな家、小屋みたいなものでいいので、それを建ててそこに住もうかと考えました。週末は家庭菜園でもやりながら別荘の感じで過ごすというものです。何よりも住まいの建設が先ですから、費用の捻出に苦労しています。カミサンに新たな金の拠出は相談できないので、アルバイト原稿や小額ですが田んぼを県の第3セクターである農業公社に委託してあがる小作料を貯めこんだのです。
 この田んぼは2,4ヘクタールあります。県の平均耕作面積の2倍近くですね。農地の流動化が進んでいるので今は1,5倍くらいかと思いますが。また山林は妹が5ヘクタール、私が15ヘクタール相続したのですが、登記上のもので実質管理は私がやっています。こちらは平均的な面積なんじゃないでしょうか。なにしろ過疎地ですから財産的価値はほとんどありません。ただ、田舎暮らしをしたい人にとっては、持っていることは、ない人よりいいということです。恵まれていることは確かです。私の会社の同僚は、田舎暮らしをしたいが土地がなく、秋田、山形は農振法が厳しいということで、結局福島県で買い求めました。1,4ヘクタールの原野に200万から300万円は投資したのではないでしょうか。

 さて、この田舎暮らしですが、今年の文芸春秋7月臨時増刊号で「第2の人生暮らしの設計図」というタイトルの特集をやっていました。この中で8つのキーワードが示されています。ボランティア、趣味、起業、海外移住、再就職、家事、インターネット、それに田舎暮らしです。ここにおいでの皆さんは、それぞれ該当するものがあると思いますが、私の場合は、家事、インターネットも田舎暮らしに含まれます。南外村は24メガのADSLが開通し、現在私が秋田市で使っているADSLと遜色のない速さのネット環境がありますし、料理は東京で単身生活を送ったとき、酒のつまみを作るのに喜びを感じたくらいでした。それはさておき、第2の人生に田舎暮らしが入っていることはトレンドであるということです。
 そのトレンドの中心になりそうなのが、1947年から49年にかけて生まれた団塊の世代です。国交省の2003年度「土地白書」では、今年1月の調査で大都市圏に住む54歳から56歳を対象にしたもので、22,8%は「ふるさとで老後を暮らしたい」と答えています。また、秋田出身のファミリーマートの上田準二社長(57)は、「秋田の土地、自然、人情、他県にない食を中心にした特産品がある。住む土地さえあれば、この世代は温泉につかり、畑を耕しながら元気に生活すると」地元紙のインタビューに答えています。

 この世代に影響を与えた元全共闘議長の藤本敏夫さん、歌手の加藤登紀子さんの亭主ですが、彼は加藤さんと獄中結婚するんですが、出所後は生協運動から最後は千葉に農園を作りました。2年前に亡くなりましたが、加藤さんは今でも意志をついで農園の経営にあたっていますし、テレビのサンデートークでおなじみの高野孟さん(彼も全共闘運動にかかわっていたはずですが)も、この農園にかかわって「人生2毛作」と言っています。
 こうした農にかかわる生き方を実践し、啓蒙している方に、宮城県田尻町に住む結城登美雄さん(58)がいます。彼は10年前に経営していたデザイン会社を閉鎖し東北の農家のあちこちを取材し、昨年春には1,4ヘクタールの農地を住宅込みで1450万円で購入し、「15坪の家と1反歩の農地つきで700万円」で田舎暮らしをしようと提唱しています。もっとも今では「20坪の家で土地は賃貸」と方向を変えているようです。多分、終の棲家でも跡取り、相続を考えたら、家は広くしたほうがいいと考えたのかなと私は思っています。
 また、連合事務局に勤務し「全共闘白書」の著書で有名な高橋公さん(56)は、団塊の世代に向けた生き方探しをめざすNPO「プロジェクト猪」を作り認定されています。
 NPOでは作家の立松和平さんが理事長を務める「100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター」が2年前に設立されています。連合や企業がバックアップして農業に就労する人たちへの受け皿作りをしていて、全国に7支部を作る運動を展開しています。ここのHPには長野、岩手、福島などの動きが紹介されています。秋田は残念ながらこうした動きは殆どありません。

 一方農業への就労を斡旋するため、民間企業のパソナは関東、関西に「雇用創出機構」を一昨年の9月に設立し、農業インターンプロジェクトととして大潟村などで月額12万円の収入つきで農業研修を農家や法人で行っています。
 では、こうした農業事情に国の動きはどうかというと、6月に「農林水産業から日本を元気にする国民会議」が発足しました。代表幹事に宮沢元総理、ミスター円の榊原慶大教授、梶原全国知事会会長、それに金融機関、NPO、製造業の50人が幹事になり、農業の再生で地域経済の発展を目指すとしています。具体的には「田園からの産業革命」をテーマに農業の再生への政策提言をしようというものです。
 主なものは、(1)新規事業を支援する「農林水産業投資ファンド」の創設(2)農業フランチャイズシステムの導入?食文化の再生・創造に向けたライフスタイルの提案などで、いずれも起業を目指すとしています。私からみれば何か規制緩和で企業が参加しやすい環境作りに見えてきますが。
 さらに国の基本政策である農政の中長期計画である「食料・農業・農村基本計画」が、来年3月に見直しされます。耕作放棄地の増加対策として、企業の農地所有を認める案が検討されています。現在は1社10分の1以下の出資、複数企業は4分の1以下に制限されていますが、既に構造改革特区では外食産業グループが参入しています。カゴメトマトのケースです。
 こうした企業の農業参入に危機感を強めているのがJAで、これまでは助成金は一律に出していたのを集落ごとの担い手農家に賃貸で農地を集中させ、従わない集落には助成対象からはずすという動きも出ています。
 全国的に農業の規模拡大を農地の流動化で進める一方、兼業ではない職業としての自立農家の育成と、担い手不足には法人化による社員の雇用が流れになっているといえるでしょう。しかし、これは一挙に進むわけではありません。小規模ながらも食える、片手間でも臨時収入を増やす農業も見直されています。産直販売所なんかそうですね。
 地方自治体で特色を発揮しているところが結構出ています。隣の岩手県。「がんばらない宣言いわて」「環境首都創造いわて県民宣言」「いわて地元学」など魅力的なキャッチコピーが並んでいますが、地域の自然と調和した新しいライフスタイルを全国に発信していると思います。
 この新しいライフスタイルですが、最近流行のスローフード(イタリアの造語)、スローライフ(日本の造語)は、大量生産、大量消費のファストフードに対抗する形で出てきました。タイムイズマネーではない食や生活のあり方が問われています。また、やはり流行りになっている「地産地消」、今では地元で欲しいものを欲しいだけ作る「地消地産」という言葉も生まれています。食べる「食」という字は人を良くすると書きます。ここから食育が大切ということにもなります。

 そこで「農楽舎」なんです。ようやく出てきましたが、読んで字のごとく農を楽しむ仲間が集う場所として存在価値を見出していただきたい。岩手県ではないですが、地域の自然と調和したライフスタイルで(全国に発信はしませんが)、自分が欲しい農作物を欲しいだけ作る、私は「自産自消」と言っていますが、職業としての農業、百姓はしない方に(経営規模としても無理ですが)参加していただきたい。
 今建てている家、家というよりも山小屋みたいなもんですが、1階を作業場、2階がLDK、そこにやや広めのロフトで、夫婦または1人暮らしができるスペースが確保されています。居住スペースは15坪くらいでしょうか。予算が300万円しかなかったので、それなりに建ててくれと工務店に頼みましたが、内装は自分でやらなければ駄目みたいですが(外壁の木の部分は自分でペイントを塗りました)、サッシやユニットバスは中古品で、キッチンセットや洗面台は秋田から自分で運びました、どうやら見てくれはそれらしい形になっているので、モデル住居にもなりそうです。
 全くの新築では600万円余りはかかると工務店では言ってますが、土地を賃貸にすると先ほど挙げた結城登美雄さんではないですが、700万円でOKになるという計算です。もちろん、南外村の我が家の周辺という土地事情はありますが。
 ただ冬は大変です。積雪は1メートルを超しますし、毎日雪かきです。まぁこれをしのいで春を待つという自虐的楽しみ方もできます。ですから良いことずくめではない。過疎地ですから、病院は近くにはない。もちろんコンビにはない。体力、健康に自信がなければ住めない。ライフスタイルプロデューサー(こんな職業もあるのか)の浜野宏さん(63)は、安易に田舎暮らしをするべきではない。百姓なんかできない。都会の楽しみ方がもっとあると先日読んだメールマガジンで書いています。その通りだと思います。

 しかし、それでも自然が好きな人、農作物の栽培を失敗を恐れずやりたい人、ノンビリ生きたい人には、田舎暮らしをお勧めします。まだまだお話しすることはあるのですが、与えられた時間が来ました。「ようこそ!農楽舎へ」と言えることを楽しみに、これで終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

<このページのトップへ>



〒019-1933 秋田県大仙市南外字滝ノ沢49 NPO農楽舎
   電話・FAX/0187-74-2200 携帯/080-1814-3764 メール/sk-nhogakusha@nifty.com
<当サイトに掲載されている文章、写真のすべてに正当な著作権が存在します。無断転載、無断改変等類似行為は禁止させていただきます。>