目次
「プロローグ」(2009年7月29日)

<現状認識>
1、 秋田県の自殺者数の推移(2009年7月29日) 4、 自営業者の自殺者数の推移 (2009年8月6日)


2、 自殺者数増加の緊急事態 (2009年8月1日) 5、 ワーストを続ける秋田県の自殺率 (2009年8月12日)


3、 世界同時不況の影響 (2009年8月2日) 6、 秋田県の民間団体の挑戦 (2009年8月25日)


<自殺予防に挑戦する民間団体>
1、 町村モデルの挑戦「心といのちを考える会」(秋田県藤里町)
(2009年9月3日)
5、「自営業者の自殺者数37.1%の減少」(2010年1月29日) 


2、緊急対応の「いのちの総合相談会」の開催!(2009年9月18日) 6、「桜の季節から山燃ゆる季節へ」(2010年5月11日) 


3、「密接な連携」こそ、有効な自殺対策 (2009年11月29日) 7、「梅雨空の合間に希望が見えた」(2010年6月19日)


4、「いのちの光よこころを照らせ」(2009年12月27日) 8、「自殺予防県民運動「秋田ふきのとう県民運動」立ち上がる
(2010年8月1日) 
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<自殺予防に挑戦する民間団体>

1、 町村モデルの挑戦「心といのちを考える会」(秋田県藤里町)

(2009年9月3日)
秋の気配が漂う、8月29日・30日の両日、世界遺産「白神山地」の麓、秋田県藤里町で、「北東北自殺予防民間団体等活動交流会」が開催されました。秋田県、青森県、岩手県の大学、行政、民間の関係者が集結しました。参加者は約160名。
藤里町は秋田県の北部に位置し、人口4000人規模の町。林業と農業が主産業で、最近は世界遺産の入り口として、観光に力を入れています。交流会は町の第3セクターが経営する温泉ホテル「ゆとりあ藤里」を会場に行われました。

初日は秋田大学医学部長の本橋豊先生、青森県健康福祉部野宮富子主幹、岩手県精神保健センター所長の黒澤美枝先生の鼎談から始まりました。各県の現状と課題が話されました。
秋田県、青森県、岩手県の北東北3県はワースト1位ー3位の常連です。秋田県のワーストは14年間、青森県は過去10年間で、2位が5回、3位が1回、岩手県は2位が3回、3位が6回と3県とも自殺率が高い県です。各県が懸命に対策を打っても、自殺者数は簡単には減少しないのです。
北東北3県の共通の課題は、上半期の自殺者数が増加していることにありました。100年に一度の不況で誘致企業や製造業の業績が悪化しているのです。不況が地域経済にじわりと影を落とし、若者の解雇や失業者の増加で消費者マインドが冷え込んで来ました。関係者に閉塞感が漂い始めた時期の交流会でした。

本橋先生が秋田県の実情と対策に触れられ「北東北3県の活動は確実に成果を上げてきている。活動や啓発のメッセージが多くの人に届いている。これからの課題は、まだメッセージの届かない人にいかにメッセージを届けるかにある」と発言をされました。
「メッセージが届かない人にメッセージを届ける」と、対策の問題点を明確にし、閉塞感を打破するための方法を示唆されたのです。今までの対策に自信を持って推進すべきである、と言われました。本橋先生の発言に勇気が湧きました。
青森県の野宮富子主幹は「青森県は、平成13年から、9年間自殺対策を実施してきたが、自殺者は減らない。私たちが実施している対策は追い込まれて、苦しんでいる人達に本当に届いているのでしょうか。対策を見直す必要に迫られているのではないか」と発言されました。私は野冨さんの発言に驚きました。民間団体の代表の口から、この言葉が発せられたのでは驚きませんが、県の自殺予防の担当者が青森県の自殺対策の緊急性と対策の「限界」をさらけ出したのです。自殺者が増加している今だからこそ、自殺対策の前にふさがる「壁」の存在を認識する謙虚さが必要です。私たちの活動はこのままでいいのかと・・・・。「壁」を意識できることは「壁」の前まで進歩したのです。惰眠をむさぼっていては「壁」の存在すらわからないでしょう。
野宮さんの謙虚な発言に感動しました。
黒澤先生は、2日間の取り纏めに
1、 「心といのちを考える会」のもてなしの心に感謝した
2、 来賓に町長はじめ、殆どの町会議員が出席したこと
3、 藤里町の取り組みに新鮮な感動を受けた
4、 夜の懇親分科会が楽しかった
とユーモアに溢れた感想を述べられ「自殺防止には途切れの無いケアが必要だ」と活動の継続性を強調しながら、いろんな会に参加して「視野をひろげましょう」を呼びかけられました。
3県は交流も盛んで、お互いの県のノウハウを交換しています。北東北の自殺対策は確実に前進していることを実感しました。

「心といのちを考える会」は、会員数35名、活動暦10年間の地域密着型の活動団体です。
コーヒーサロン「よってたもれ」(来てくださいね!)が有名です。最近は夜バージョン、赤ちょうちん「よってたもれ」を始めたそうです。集落の集会所で酒を酌み交わしながら、地域住民と「命の大切さ」を語りあっているのです。一升瓶を持参しながら、一度は参加してみたいものです。
町村モデルの自殺防止活動を考えている方は、この会の活動から学んだらどうでしょう。メンバーの優しい笑顔と熱心な活動の実態が見えるでしょう。町村モデルの原型が秋田県藤里町にあります。

「百聞は一見に如かず」。世界遺産「白神山地」の旅を兼ねながら、「心といのちを考える会」を訪問してみたら如何でしょう。紅葉に染まるブナ林と、ゆったりと流れる時空の音を聴くために。

左側から、本橋豊先生、野宮富子主幹、黒澤美枝先生

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2、 緊急対応の「いのちの総合相談会」の開催!

(2009年9月18日)
今日までの10日間(9月8日〜18日)(日曜日を除く)、緊急「いのちの総合相談会」を開催しました。本来は10月、12月の2回に分けて開催の予定でしたが、7月の自殺者数が、前年比で23名の増加に危機を感じて緊急に開催しました。相談は全て「面談」で行いました。

民間団体の特徴はフットワークの軽さにあります。組織が小さいので、意思決定と資金さえあれば、すぐにでも行動をとることが出来ます。組織の大きい行政や団体は意思決定や予算に縛られます。異動期で動きが取れない時や年末年始、予算案が議会審議中で計画を実行出来ない時等の谷間には、民間団体を活用するのが有用でしょう。自殺を考える人は、「こちら側」(行政や相談機関等)の事情を考慮して亡くなるわけではないのです。緊急時を想定した切れ目の無い対策が必要になります。

自殺予防「秋田・こころのネットワーク」(20団体)のメンバーと、弁護士、司法書士、臨床心理士、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナーの協力を求め、民間団体にとっては、初めての総合相談会を開催しました。
民間団体のメンバーが相談者を受け止め、専門的知識がないことや、解らないことは弁護士や臨床心理士等のアドバイスを受けながら同席して相談する方法です。自殺する人は複数の原因を抱えて死に追い込まれていきます。
多重債務とこころの病気と法的解決と人生の生き方等・・・・・・・・
年齢、性別、職業、性格、家庭環境、社会的地位、人生観、宗教観、生い立ち等によって、ひとり、一人、悩みの種類や深さが違うのです。
人間の顔の数だけ、悲しみの数があり、同じ悩みの人は、一人もいません。
これを解決するためには、複数の専門家が連携して相談に応じる必要がある、というのが、今回の総合相談会を実践した主旨になります。

自殺予防を考える時に、一つの団体だけで自殺者を食い止めようとすることは、自殺対策のむずかしさを知らないか、人間の悩みの複雑さを知らない、暴虎馮河の思考に近い考えではないでしょうか。
特に、危機介入の現場は「ナマの人間とナマの人間」が対峙する真剣勝負の場になります。
低い目線から「目の前の相談者のいのちを救う」ためにはどうすればいいか、を考える必要があります。
どこまでも「相談者(悩んでいる人)の立場」に立って。
自分の立場、自分達の組織の立場を優先しないこと。悩んでいる人の「いのち」を最優先すること。相談者の「いのちを救う」ためには、ありとあらゆる手段、方法を駆使すること。解決出来ない時は他人の英知を借りること。他の団体と密接に連携することが必要になります。

10日間の相談回数は37件。毎日3〜4名、5〜6時間の相談の連続でした。経営者、多重債務者、失業問題、離婚、うつ病、精神不安等の多種、多様な相談を受けました。実りのある相談会になりました。

「いのちの総合相談会」を総括すると
1、 民間団体のメンバーと専門家が連携した濃密な相談になった
2、 民間団体だけでも多彩な相談は可能である
3、 からかいや冷やかしの相談者はひとりもいなかった
4、 複数の相談員が関わることで、相談者に与える安心感の重みが違う
5、 予想以上に相談者数が多く対応に追われた

<結論>
「相談者は複数の悩みを同時にかかえている。そのため、一つの相談機関では、悩みの本質を見抜けないことがある。また、解決の方法を示せないこともある。民間団体がじっくり傾聴して悩みを吐き出してもらう。弁護士、司法書士、臨床心理士等が専門的な立場でアドバイスする。関係者が連携することによって、相談の幅が広がり、相談者に与える安心感の重みが違う。緊急時の自殺対策として、民間団体と専門家集団の連携による「総合相談会」は有効な方法であることを確信した。資金の目途が付き次第、これからも開催する」

初めての試みでした。参加した民間団体のメンバーは緊急の現場体験で大変勉強になったそうです。複数の相談者からは感謝の言葉をもらいました。
ずっしりと重い10日間連続の相談で疲れました。
明日からの5連休は、白神山系を散策して英気を養います。
活力が戻ってくるでしょう。それから、また、こころを奮い立たせて活動を開始しましょう・・・・・・・・・。

今回の相談は「秋田・こころのネットーク」の次の会員の協力を得ました。
精神保健福祉ボランテイアれもんの会 、NPO秋田新生活相談所、 ラストシェルター 、(社)日本産業カウンセラー協会東北支部秋田県運営部、 サポートグループふれあいのWA、NPO秋田県心の健康福祉会 秋田市精神保健福祉ボランテアウイング、まんまる、心といのちを考える会 

緊急「いのちの総合相談会」の費用は、日本カトリック協議会「カリタス・ジャパン」様の援助金を活用させて戴きました。深い感謝と御礼を申し上げます。

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3、「密接な連携」こそ、有効な自殺対策  

(2009年11月29日)
今年のカレンダーもあと残り少なくなりました。外周の山々の頂にはうっすらと雪が積り、秋田の冬が間近です。不況がじわりと足元の経済を揺るがしています。秋田県の失業率は5.6%(9月末)と高水準になっています。
今年の特徴は30代の若者の増加です。どの世代の自殺の増加も悲しいことですが、これからの地域社会の担い手である若者の自殺は深刻に受け止めなければいけません。精密機器や製造業の大量解雇が続き、職を失った若者が労働市場に溢れています。ハローワークは仕事を求める若者でいっぱいです。
経済基盤の脆さが若者のこころに将来不安を与えているのでしょう。失業後に次の仕事の目途がつかないので、人生の夢を奪われているのです。
不況を反映し、相談も例年の3倍に増えています。

9月26〜27日に、地元秋田魁新報社と東奥日報社(青森県)、岩手日報社(岩手県)、山陰中央新報社(島根県)の新聞各社が主催し、各県と秋田大学、NPO法人「ライフリンク」等が共催の「いのちを守り、いのちを支える全国フォーラム」が秋田県で開催されました。300人以上の参加者で盛況のフォーラムになりました。それぞれの分科会も熱心な討議が交わされました。全国からおいで戴いた皆さんに御礼申し上げます。その後、県の依頼での地域巡回相談や日常の繁忙に追われて「自殺防止の現場力」の発信に間が空いてしまいました。

6月以降の秋田県内の自殺者数の推移と活動状況について報告します。
上半期の自殺者数は、昨年と同数の223名でした。秋田県の自殺者数の傾向として3年間連続して減少しないこともあり、不況下の数字にしては、想定の範囲内に思っていましたが、7月以降に上昇に転じました。7月が46名と昨年の2倍になったのです。10月までの10ヶ月の累積総数は昨年よりも18名多い367名です(下表参照)。7月が23名増加、8月10名減少、9月1名、10月4名の増加で4ヶ月間の各月の増減をプラマイすると18名の増加です。残された11月、12月の数字がどうなるか。気にかかってきました。
「官」「民」「学」連携の秋田モデルも不況の荒波に揺らいでいます。

緊急にやれる対策も制限されますが、一年の悔いを残さないように、やれることはやりましょう、ということで、9月に引き続き、11月、12月に2回、「いのちの総合相談会」を実施することにしました。
「いのちの総合相談会」は、緊急の自殺対策として、有効な対策だと実感しています。
「自殺に追い込まれる人は複数の悩みを抱えている」
過労、事業不振、負債、失業、家庭の不和、生活苦、うつ病等。
それならば、「一人の人の抱える複数の悩みを同時に解決する」手法として複数の相談機関が同時に相談を行うのがベストだ、というのが、発想の原点です。どこまでも、自殺を考える人の立場で対策を構築していきます。
2回目の相談会は、11月24日〜28日までの5日間行いました。
相談者は21名、年末も近くなって深刻な相談が増えてきました。
相談の様子が11月30日の秋田魁新報に掲載されました。添付しておきました。
3回目の総合相談は12月7日〜11日に行います。
相談員は、弁護士、司法書士、産業カウンセラーと自殺予防民間団体「秋田こころのネットワーク」のスタッフが「密接に連携」して行います。
一人でも不幸な人が減って欲しいと願って。

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4、「いのちの光よ、悩める人のこころを照らせ」

(2009年12月27日)
師走の街に細かい雪が舞っています。喧騒が行き交う秋田駅前の「ぽぽろーど」に発光ダイオードのイルミネーションが点滅しています。樹木を形どった「いのちの光」です。自殺予防に願いを込めて、秋田魁新報社と57事業所が支援して作ってくれました。薄緑の葉の茂りは初夏の芽吹きを彷彿させます。ピンクのハートマークが優しく樹幹を包み込んでいます。樹木の下には、蛍火のような小さな光が明滅しています。小指の先程の豆電球の数は、今年の自殺で亡くなった人の悲しみの数にも見えます。「いのちの光」は、県民のいのち大切さ照らして、年末、年始の秋田駅の一角に灯ります。


2009年の県民のいのちの重さはどうであったでしょうか。
11月の秋田県警発表によると、今年の自殺者数は399名でした。12月の数字は残されています。もはや、400人を切ることはないでしょう。秋田県の自殺対策の前には「400人の壁」がモンスターのように立ち塞がっています。平成10年に370人から450人に急増してから、一度も400人を切ることがありませんでした。「400人」の厚い壁の前で、凝然と立ち尽くすばかりです。

今年は、大勢の若者のいのちが奪われた年になりました。
30代の若者の自殺が倍増しました。年の瀬に無力感が漂っています。若者のいのちを救えなかった悔悟の無力感です。どの年代の自殺も悲しいことですが、これからの人生を生きる、20代、30代の若者を死に追いやってはいけないのです。リーマンブラザーズ破綻後の世界同時不況、精密機械・製造業の不振と若者の解雇、高い失業率、雇用不安等で、日本的にも、秋田県でも、若者の自殺は予測されていました。対策が遅れてしまいました。自殺対策の予知能力の無さを痛感します。失われたいのちは再び戻ってきませんから。

「いのちの光」よ!
若者の絶望のむこうにある人生の希望を照らせ。
悩んでいる人のこころの無限の闇を照らせ。
悲嘆にくれる自死遺族のこころをほんのりと照らせ。
それから、自殺対策に奔走する関係者の勇気も照らして欲しいのです。

年の瀬になりました。
自殺予防に奔走する、全国の活動団体の皆さん、1年間ご苦労様でした。
2010年が実りある年になりますように

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5、「自営業者の自殺者数37.1%の減少」

(2010年1月29日)
1月21日(2010年)秋田県警から「秋田県における自殺の実態」が発表されました。
それによると、自営業・家族従事者の自殺者数が、67名から56名(16.5%減)に減少していました。この人数は、「蜘蛛の糸」の活動時点から37.1%減少したことになります。

県警の発表にもとづいて、昨年(2009年)の秋田県における特徴を概観します。

1、 平成21年中の自殺者数は438人で、前年より33人(増加率8.1%)増加しました。2年間続いた減少傾向が3年目で、増加に転じました。
2、 65歳以上の高齢者は165人で、全体の37.7%を占め、前年より5人減少(減少率2.9%)しました。
3、 原因・動機別では、健康問題が177件で全体の35.4%で最も多く、次いで経済・生活問題114件(22.8%)家庭問題32件(6.4%)の順になっています。
4、 20代が7名、30代が25名増加しました。合計32名の増加です。
5、 自営業・家族従事者の自殺者数は、67名から56名に減少しました。



自殺者総数が増加したのに、自営業と家族従事者の自殺者の減少は、悲しみと喜びが交錯する複雑な感情に駆られます。
しかし、表が示すように、自営業者の自殺はノコギリの歯を右下がりにしたように、減少傾向に入ったといっていいでしょう。今年の削減目標は40名台にすることにあります。(赤線が予想線)

自殺対策を進める場合に、わかり易い目標を掲げることが重要です。
自殺対策は、道なき道を切り開く前人未到、試行錯誤の活動になるだけに、活動の方向性がぶれないために、長期にわたる目標と絶えまない自己検証が必要になるでしょう。
「蜘蛛の糸」の活動目標は単純、明快です。
秋田県において「自営業者とその家族の自殺者数を半分以下」にすること。
(県警の発表に中小企業経営者と家族の発表はありません。以下自営業と言います)
期間は、平成14年6月から平成23年12月までの10年間。
活動を始めた平成14年の自営業者の自殺者数は89名でした。
この数字を「平成23年12月まで45名以下にする」ことが目標です。

(表参照)
50名台の数字は、平成6年(51名)以降、15年ぶりの低い数字になりました。
つまり、「8年間で37.1%減少」したことになります。8年間、首まで「どっぷり」と浸かった自殺対策の現場力が次第に効果を奏してきたのでしょう。
減少をもたらした対策の思考や活動の内容については、「自殺対策の視点」で述べていきます。

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6、「桜の季節から山燃ゆる季節へ」

(2010年5月11日)
例年よりも10日ほど遅れた桜の花が、駆け抜けるように秋田の天地を北上していきました。ゴールデンウイークに開花の時期がぴったり重なったこともあって、みちのくの小京都「角館」の武家屋敷の枝垂桜や、干拓地を埋め立てた大潟村の菜の花と桜のコントラストの名所は観光客で溢れていました。
花に浮かれ、酒に酔う人達をみていると平和な日本人の姿をみるようです。
里は次第に淡い緑に色づいて、周囲の山肌を山桜の花や広葉樹やブナが芽吹いて秋田県のみならず東北の四季の輝きはこれから始まります。まさに山燃ゆる季節の到来です。

3月の末まで厚生労働省の自殺防止対策事業によって「自殺防止の現場力」を書き上げました。80ページ程度の小冊子ですが、結構エネルギーがかかりました。いま、当法人には中小企業経営者の自殺予防団体を作って活動したいとの照会が増えてきています。そんな民間団体や個人の参考になればとの思いで書いたものです。文章の未熟さはあるでしょうが、8年間の現場体験と2500回を越える相談の実証例に基づいて構築した「中小企業経営者と家族のいのちを支える」実践マニュアルです。これから自殺予防活動に取組んでみたい団体や個人の方は参考にしてください。実践を積み上げていずれは対策編を書き上げたいと思っています。

今年の秋田県の自殺者数の増減について観察してみます。
5月11日、秋田県警から4月の自殺者数が発表されました。4月は33人でした。昨年4月比で18人減。大幅な減少です。1〜4月の累計でも23人減少しました。それでも1月〜4月で120人が亡くなっています。秋田県の過去データを分析すると、のこぎりの歯のように増減しながら3年目に一気に減少するという推移をしてきています。また、推計によると秋田県の自殺率全国一を返上するには、年間350〜360人にまで減少する必要があります。今年は3年目の減少の年にあたりますが、どうなることでしょうか。
今後、返上に向けての民間団体の活動や行政の動きなどを報告していきます。

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7、「梅雨空の合間に希望が見えた」

(2010年6月19日)
 鳩山首相が「政治と金」の問題と沖縄普天間基地の米軍移設問題で紛糾し、自縄自縛で退陣を表明した6月3日、地元紙秋田魁新聞が厚労省の人口統計の結果を報じました。それによると秋田県の自殺者数は416名、自殺率は、自殺率38.1(人口10万人あたり)で自殺者数は昨年よりも6名増加していました。またしても全国一の自殺率でした。これで平成7年から15年間全国ワーストになりました。

 自殺防止活動に取組む者として残念との感慨を覚えますが、昨年の自殺者数の増加はある程度は予想しておりました。過去数年間の秋田県の自殺者数の趨勢をみると、平成15年の519名を山の頂にして、ノコギリの歯を右下がりに傾けたように減少傾向になり、2年間は下がって、3年目上がることを繰り返してきたからです。傾向を観察すると昨年は3年目の増加の年にあたります。「3年目のジンクス」といっていいでしょう。昨年は「3年目のジンクス」とリーマン不況後の製造業種の不振が重なってしまったのです。
 秋田県の自殺者数は、平成10年に370人から400人台に入ってから一度も400人を切ることがありません。「3年目のジンクス」と「400人の壁」が返上の前に立ち塞がっているのです。このジンクスと壁を破ったときが、ワースト返上のときであり、梅雨空の一角に青空がのぞいて陽光がさすときなのです。その日、その時は限りなく近づいている予感がします。(図1参照)

 6月12日、秋田県警から5月の統計数値がホームページで発表されました。(図2参照)5月は昨年の43名から24名に大きく減少していました。月別累計の1月ー5月の自殺者数累計は144名です。昨年は186名でしたから、人数で42名の減少、対前年同期比率は23%減になります。簡単にいうと5月までは、昨年累計の4分に3になったことになります。
昨年の約10%(40名)減少すると、全国一の脱却が可能にみえますので、5月までの数字は過去データからしても「400人の壁」を切る可能性が出てきました。こういう時はタイミングを逃さず、「選択」と「集中」した有効な対策が求められます。若者の自殺対策も緊急の対策になります。
今年の自殺者数の減少は「官」「学」「民」連携の対策効果が出始めたことの査証であり、毎月の統計から目がはなせなくなりました。

図1


図2

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8、自殺予防県民運動「秋田ふきのとう県民運動」立ち上がる

(2010年8月1日)
梅雨明けを数日後に控えた7月16日午後3時、秋田県に、県や市町村、秋田大学、商工会議所、商工会、医師会、社会福祉協議会、薬剤師会、民生・児童委員会、老人クラブ連合会や多数の企業、自殺予防民間団体や個人が一体となった自殺予防連携組織「秋田ふきのとう県民運動」実行委員会が発足しました。秋田県の自殺対策は、全県一体となって「官」「学」「民」が本格的に連携を開始しました。
当日は、県、県内24市町村、秋田大学、77の団体、企業、個人参加者を含む総数111の団体代表と個人の参加になり、会場のホテルの一室はマスコミ関係者を含めた大勢の参加者で溢れていました。
全国的に見ても、これほどの規模の「官」「学」「民」連携の自殺予防組織はないでしょう。日本で初めての行政と大学、民間団体の最大の連携組織だと思います。秋田県の自殺対策は10年近い歳月を経て関係者の努力が結実してきました。組織の異なる団体の連携は「言うは安く、行うは難し」のところがあります。行政には行政の役割、大学には大学の役割、民間団体には民間団体の特徴と個性があり、簡単には連携ができていない状況ではないでしょうか。
 裏を返せば、秋田県の自殺対策の現状は連携しなければいけないほど深刻だということもいえますし、「官」「学」「民」の10年に近い活動の歴史が信頼関係を醸成し、機が熟して県民運動に発展したといえるでしょう。
秋田県の自殺対策は、2010年7月16日を「連携の記念日」として「秋田ふきのとう県民運動」実行委員会の発足とともに、新しい段階に入ってゆくことになるでしょう。「秋田ふきのとう県民運動」は民間団体中心の運営組織になります。

「秋田ふきのとう県民運動」の主な役員構成は
顧 問 秋田県知事 佐竹敬久
秋田大学医学部長 本橋 豊
会 長 袴田俊英(秋田・こころのネットワーク代表)
副会長 稲村茂(秋田県医師会常任理事 精神科医)
高橋豊(秋田県社会福祉協議会 事務局長)
佐藤久男(NPO法人蜘蛛の糸 理事長)事務局長兼務

意思決定機関である幹事会は、秋田県商工会議所連合会、秋田県商工会連合会、株式会社秋田魁新報社、秋田いのちの電話、秋田なまはげの会、精神保健ボランテイア れもんの会、ホットハート由利、有限会社東邦ドラッジスト、はまなすネットワークのしろ、秋田県民生児童委員協議会の10の団体の代表と顧問、会長、副会長の16名で構成されました。
事務局はNPO法人「蜘蛛の糸」に設置。
7月16日の「秋田ふきのとう実行委員会」では、
1.県民運動大会を9月18日におこなう
2.標語、シンボルマークの募集
3.12月1日の「いのちの日」にちなみ、街頭キャンペーンを実施する
4.「秋田県いのちの日」の設定
 (3月1日を「ミンナのいのちの日」に決定)

当日の秋田魁新報社の新聞記事を掲載しておきます。県民運動の展開については、もう少し立ってから「秋田ふきのとう県民運動」ホームページを立ち上げ随時報告していきます。

1.7月18日の新聞記事
(記事をクリックすると拡大します)

特定非営利活動法人蜘蛛の糸
事務局/
秋田市大町三丁目2-44恊働大町ビル3F  TEL018-853-9759/FAX 018-853-9758

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